厚生労働省の試算では、2030年時点(平成42年時点)において、年間死亡者約165万人のうち47万人が病院でも、高齢者施設でも、自宅でもない“その他の場所”で亡くなると推測されています。
この試算は、現在既に超高齢化社会となった日本社会において、問題が更に深刻化していくことを示唆していますが、その問題に対して国が講じることのできる抜本策は無いのが現状です。
なぜなら、現在(平成26年時点)国が行おうとしているのが、「高齢者福祉を再び地域コミュニティにも担ってもらおう」という考え方のもとでの施策であるからです。
介護保険は、平成12年以来、「自治体や地域から“あてがわれる福祉サービス”を受けるのではなく、“自分でサービスを選択・決定・購入する”」という考え方を国内津々浦々に浸透させることとなってきました。
今、将来の財源見通しが立たなくなったからといって、急に舵を元に戻して地域に頼ろうとしても無理が大きいのは火を見るよりもあきらかです。
しかしそれにもかかわらず国が地域の福祉ネットワークシステムにこだわるのは、それ以外に“病院で亡くなることも、施設で亡くなることも、自宅で亡くなることもできない”膨大な数の高齢者のケアや看取りを託すことができるのは地域のシステム以外に無いことが自明だからでしょう。
今後病院でも、施設でも自宅の中でも最期を迎えられない高齢者が爆発的に増加していくでしょうが、コスト意識の浸透しすぎた現代日本社会の中で、既存の制度・システムではそのケアや看取りを行う方法を見つけていくことはもはや困難ではないかと思われます。
これからの社会では、「誰もが潜在的に持っている、“より良く生きたいと強く願う力”を、見つけだし、高め、育んでいくこと」以外、人が尊厳ある終末期を迎えられる道を確保することは不可能ではないでしょうか。
介護保険制度発足当時からこのような問題の深刻化と国の無策を懸念していた我々市民・専門家有志グループは、こうした諸課題に対応していくための推進組織として、特定非営利活動法人咲良の会を設立することといたしました。
咲良の会は、これからの我が国の高齢者並びに超高齢化社会を生きるすべての人々に対して、認知症や『尊厳ある死』をはじめとした、老いを迎えるにあたって避けては通れない諸問題について‘学び’‘集い’‘考え’‘支える’ための事業を行い、もって超高齢化社会における新たなセーフティネットとなりうる社会基盤作りを目指します。
人が良く生きるにはどのような事が大切なのか、考えて行きたいという想いから、生きる事を‘咲く’と表現し、良く生きる‘良咲(さくら)’と名付けました。
さくら、という響きは日本人になじみが良く、親しんでいただきやすいこともあり、今後、たくさんの人に愛される団体として育ててゆけたら、と考えています。
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